毎日、街のあちこちで排水のトラブルを解決している私たち専門業者の目から見ると、日本の住宅の汚水枡は、まさに「声なき悲鳴」を上げているように感じることがあります。私たちは、トイレが詰まったり、庭が浸水したりといった最悪の事態になってから呼ばれることがほとんどですが、その原因の九割は、日常のほんの少しの注意で防げたものばかりです。現場で最も頻繁に遭遇するのは、キッチンの油汚れによる詰まりです。最近の洗剤は非常に進化しており、冷たい水でも油を溶かして流してくれますが、その油が排水管を通って汚水枡にたどり着く頃には、洗剤の力が弱まり、再び固まってしまうのです。「油は新聞紙で拭き取ってから洗う」という昔ながらの習慣は、汚水枡の健康を守るためには究極の知恵だと言えます。また、意外な伏兵として挙げられるのが「流せる」と謳われているトイレクリーナーやウェットティッシュです。これらは水に溶ける性質を持ってはいますが、汚水枡の中に木の根が少しでも侵入していたり、枡の底に凹凸があったりすると、そこに引っかかって溶けずに蓄積し、やがて巨大な壁を作り上げます。私たちはカメラを管内に入れてその様子をお客様に見せることがありますが、驚愕される方がほとんどです。私たちの願いは、各家庭で汚水枡という存在をもっと身近に感じてもらうことです。半年に一度、いや一年に一度でもいいので、軍手をして蓋を開けてみてください。水が流れている音を確認し、底の溝に汚れが溜まっていないかを見る。それだけで、ある日突然、家中のトイレが使えなくなるという悲劇は回避できます。もし、自分で蓋を開けるのが怖い、あるいは開け方がわからないという場合は、私たちプロを呼んで点検だけでも受けてみてください。点検費用は、本格的な溢水トラブルが起きた後の清掃・消毒・修理費用に比べれば、微々たるものです。汚水枡は、家という大切な財産を守るための要所です。そこに関心を持つことは、自分たちの生活を支える環境への敬意でもあります。私たちはこれからも、皆様の目に見えない足元を支え続け、街の清潔を維持するために、地中の声に耳を傾け続けていきます。
街の清潔を守る汚水枡メンテナンスの現場から届ける声