どれほど綺麗に掃除をしても、キッチンのシンク周りから不快な臭いが漂ってくることがあります。そのような場合、まず疑うべきは排水トラップの種類とその状態です。排水トラップは、その内部に一定量の水を溜めておくことで、下水道から逆流してくるガスを遮断するバリアのような役割を果たしています。しかし、このバリアが破られてしまう「破封」という現象が起きると、悪臭が容赦なく室内に侵入します。種類によって破封の原因は様々です。例えば、伝統的な椀トラップの場合、最も多い原因は内部の「椀」が正しく装着されていないことです。掃除の際にお椀を外し、戻すときにしっかりとはめ込んでいないと、隙間から空気が漏れてしまいます。また、長期間キッチンを使わなかった場合に、中の水が蒸発してしまう「蒸発破封」も椀トラップでよく見られる現象です。一方で、スリムな管トラップの場合、髪の毛や糸くずがトラップ内に溜まり、それが毛細管現象を引き起こして水を吸い出してしまうことがあります。これも悪臭の原因となります。さらに、最近の住宅で問題になるのが、強力な換気扇を使用した際に室内の気圧が下がり、排水トラップ内の水が押し込まれたり吸い出されたりする現象です。これを防ぐためには、気圧の影響を受けにくい深型のトラップを選んだり、通気性能を高める工夫が必要になります。もし、自分の家のトラップの種類が特定できない場合は、まずシンク下を覗いてみてください。大きな円筒形の部品があれば椀トラップ、パイプが曲がっていれば管トラップです。それぞれの種類に応じたトラブル対応を知っておくことで、突然の異臭にも慌てずに対処できます。特に、防臭パッキンと呼ばれるゴム製品の劣化は、どの種類のトラップでも十年ほどで起こりうる問題です。ゴムが硬くなって隙間ができると、そこから臭いが漏れ出します。パッキンは数百円で購入できる消耗品ですので、種類に合わせて定期的に交換することをお勧めします。キッチンの臭い問題は、排水トラップの仕組みを理解し、その種類に合ったメンテナンスを施すことで、そのほとんどが解決可能なのです。
キッチンの悪臭を断つ排水トラップの仕組みとトラブル対応