分譲マンションを購入して八年目のある日、我が家のバスルームで予期せぬトラブルが発生しました。いつものようにシャワーを浴びていると、ふと気づけば足元が数センチほどお湯で浸かっていたのです。洗い場の排水口を確認しましたが、ゴミ受けには何も溜まっていません。不審に思いながらも浴槽の栓を抜いてみると、今度は排水口から溢れ出さんばかりの勢いで水が逆流し始めました。マンションという集合住宅の特性上、もし自分の不手際で階下に漏水でもさせてしまったらという不安が頭をよぎり、私はすぐにパニックに近い状態になりました。管理会社に連絡し、紹介された水道修理業者に来てもらうまでの数時間は、生きた心地がしませんでした。到着した作業員の方は、手際よく排水トラップを分解し、内部に設置された封水筒を抜き取りました。そこには、私の想像を絶する光景がありました。何かの拍子に排水口をすり抜けたと思われる小さなプラスチックのキャップに、大量の髪の毛が蜘蛛の巣のように絡まり、配管の入り口を完全に塞ぐ「蓋」のようになっていたのです。マンションの排水管は、横方向への引き回しが長いため、こうした固形物が一度引っかかると、そこを起点にあっという間に汚れが堆積してしまうのだと説明を受けました。幸い、プロが使用するトーラーという金属製のワイヤー機材を通すことで、数分後にはつまりが解消され、濁った水が一気に流れていきました。修理費用の支払いを済ませた後、作業員の方から受けたアドバイスは、今でも私の家事の指針となっています。それは、マンション住まいこそ「定期的な高圧洗浄の機会を逃さないこと」と「浴室での小物管理を徹底すること」です。自分では気をつけていても、家族の誰かが誤って落としたヘアピンや詰め替えパウチの切り端が、大きなトラブルの引き金になることがあります。今回の件以来、私は浴室に不要なものを置かないようにし、排水口のネットもより目の細かいタイプに変更しました。集合住宅における排水トラブルは自分一人の問題では済まされないという責任感を、この苦い体験を通じて深く刻み込むことになりました。
マンションの浴槽排水が突然悪化した時の対処体験記